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某国のEです。完全版

縦書き表示が崩れるのでIEかsafariかChromeで見て下さいね。

諜報部員の憂鬱。

防人の歌」の替え歌    歌/エージェントE

教えて下さい。
我が家の庭に集まる野良猫。
こんなにいっぱい・・・理由があるのならば・・・

ウチの娘ですか?
餌をやるからですか?
娘の書いているブログのせいですか?
すのこに釘打って睨み効かせても無駄な努力ですか?

教えて下さい。
ブチ猫家族はいったい何匹?
生まれる子猫に限りがあるのならば・・・

パパと嫁ですか?
影武者って何ですか?
どれが子どもですか?
お腹にもいますか?
私の大切な三毛猫もいつか怒ってしまいますか?

やはり娘ですか?
裏切り者ですか?
娘が餌やって寝場所もそうですか?
私の大切な三毛猫に頼んで呪ってやりましょうか・・・

 

私はE。
名前ではなくただEと呼ばれる存在。そして私がEだということを例え家族でさえ絶対に知られてはいけない存在。
そんな私に与えられた任務は亡国の諜報部員として人知れず活動すること。

実はこの国には私以外にも同じ任務を受け某国の命により活動する諜報部員が何人か存在する。もっともそれぞれが極秘任務として行動するので、お互いを知る事もなければ、お互いプロなので道ですれ違ったとしても気づく事も無いだろう。
もし、もし気づいてしまっても知らん顔をしてすれ違うのが、お互いの為だとマナーだと認識している。もちろん私はという事なのだが。

それは今年の夏の事。
事態は突然私の前でおこってしまった。最初は自宅にて整体院をしている娘の客だと、最近は菓子作りに没頭し
「いよいよケーキ屋に鞍替えか?」
とさえ心配している娘の客だと思っていた。私だって常に家にいる訳では無いので娘の整体の客の全てを把握している訳ではないが今までやってきた客とはいささか雰囲気の違う感じはしていた。
何よりも声が大きい
娘の仕事の邪魔にならんように施術室からは一番離れた部屋にいた私が、そんなに聞き耳をたてていなくても話の内容が娘の声が聞こえなくても手にとるように判るくらいだ。
何やら客人は遠く北の大地からわざわざやってきたらしい。
何を好き好んでこんな普段営業してるかどうか判らないような整体院に飛行機に乗ってまでやってくるとは余程の物好きなのか?

ふと気がつくと客人は食い入るような目つきで腹の中に得体の知れないナニカを住まわせている娘の飼い猫(ブチ柄)を見ているではないか。そして遊んでやるフリをして触診を試みようとしている。
そういえば噂に聞いたことがある。組織の中に医学に博識を持ち日本中を流離いながら得たいの知れないナニカを追う職業「旅人」の諜報部員がいるらしいと。
たしか私の記憶が確かならばその諜報部員のコードネームはMのはずだ。そう言えば娘が「マ○先生」と呼んでいたような。

その客が私の存在に気づいていたかどうかは判らない。もちろん私も確認するような無粋なマネをするはずも無く娘の施術を受けまた旅立った。

そういう事にしておこう。

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撮影:エージェントM/某整体院にて。

 

諜報部員。
ちなみに皆さんはこの言葉を聞いてどんな仕事を想像されるだろうか?巷では最新作が公開されつつある(2011年当時)昔から変わらぬキャッチーなテーマソングが魅力の「なんとかインポッシブル」とか言う映画の、あっちやこっちでドッカンドッカンな感じを思い浮かべるだろうか。ただ私に言わせればアレは邪道だ。あんなにもドッカンドッカンしていてはご近所どころか世界中の皆さまにさえ存在がしられてしまう。
あくまで密かに世間に気づかれない存在として活動してこそ諜報部員としての本来のあり方だ。例え任務で腹ペコで帰宅してもブログで娘に「家中の食い物を食べつくす鬼」のような書かれ方をしたとしても
正体だけはバレテはいけない。

それにしても私はいつからこんな存在になってしまったのだろう。少なくても子どもの頃の私は普通のどこにでもいる素朴な少年だったハズだ。両親の愛につつまれ幸せな日々を送っていたハズだ。どこで道が別れてしまったのだろう?

イヤ本当は私は知っているのだ。私の持つ力。生まれた時より持っているこの力のせいなのだ。本来はこの世では発揮されてはならないこの力のせいなのだ。カップヌードルを食べる時にヤカンを頭の上に持ち上げる緑色の老人の持つ力とも、まったく違う力ではあるのだが。

皆さんに私の生い立ちを知っていただく前に、これだけは書いておきたかった。まだ周りの世界が平和だと信じていたあの日の私は、空き地で眺めた夕陽に今のような未来を決して映してはいなかったと。

 

この物語はフィクションです。
実在する映画、CM、人物、猫、整体院とは、まったくもって関係性はございません。
が、原作を書いていたのは某整体師さんだったりします。